冬、空気は乾燥し、乾いた空気に枯れた枝、小さな炎が火事を引き起こす危険性が最も高まるのは日本も同じです。凧市は、そんな火事が発生しないようにという祈りから生まれた御祭りです。

王子稲荷神社

東京都北区にある王子稲荷神社は、日本三大稲荷神社として有名です。
神社にも様々なタイプのものがあります。タイプとは、実は日本の神社は、神社によって神様が違います。その中でも狐の神様は、日本の中で大きな勢力を持っていって、狐を祭った神社の中で3本の指に入るという、由緒ある神社なのです。

凧市とは

「凧市」は、江戸時代から行われてきた行事の一つです。江戸時代の家屋は木造で造られたものがほとんどで、街はよく火事に見舞われていました。風が大火事につながることから、風を切って上る凧を火事除けのお守りにしたことが始まりだとされています。

このようなお呪いから、当時の人は王子稲荷神社の奴凧を「火防の凧(ひぶせのたこ)」として買い求め、以来、凧市は江戸の伝統行事として、周辺に並ぶ露店と大勢の人々で賑わうことになりました。凧市は、例年、初午・二の午の2日間だけで約5万人の人出があるそうです。
(初午とは、旧暦での2月の始まり日のことを指し、二の午は、その12日後ということになります。)

2025年の凧市

今年は平日だったこともあり、それほど混んでいませんでした。
神社の手前には出店があり、香ばしい匂いと鉄板で焼かれる音が聞こえてきて、目移りしてしまいそうです。凧の出店が神社の中に設けられていました。
神社の中は、どこか静けさがあり、空気がシュッと引き締まるのを感じます。

誰もが落ち着いていて、穏やかでした。凧は伝統的な和紙や竹材などが使われていて、職人の手作りで作られているのが伺えます。
当時のように凧を空にあげることが減ってきていることから、神棚などに飾るために作られた凧が多くありました。

凧には様々なバリエーションがあります。凧は菱形をしているものがスタンダードですが、人が両手を広げたような形をしているものもあります。凧の正面にはデザインが施されており、縁起物の凧には、その年の干支や龍など古くから幸運ももたらす動物や神物を描いたものが多くあります。

凧市は毎年開催されますので、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。